在イラク邦人人質事件

2004年現地時間　03月31日	国防省下請けの米警備会社(Blackwater Security Consulting．業務内容は警備および保安訓練等で元Navy SEAL隊員が設立)と契約していた元特殊部隊員4名がファルージャで殺害され，市中を引き回された上，焼身の遺体を橋に吊るされる．
現地時間　04月05日　21:00過ぎ日本時間　04月06日　03:00過ぎ	今井紀明がアンマンのホテルに到着．高遠菜穂子と合流．
現地時間　04月06日　22:30頃日本時間　04月07日　04:30頃	郡山総一郎・高遠菜穂子・今井紀明の3名を乗せたタクシー(アンマンのタクシー会社で運転手はイラク人．同タクシー会社はイラク入りする報道陣らもよく利用していたとのこと)がアンマンのホテルを出発．
現地時間　04月07日　12:00頃	東洋人が乗った車がファルージャとラマディの中間付近のサバアルブールで武装集団に包囲されているのをイラク出身のタクシー運転手が目撃．覆面をして自動小銃を持った3名が路上に停止させたオレンジ色の車の前方に立ち，右側にも4名が自動小銃を突きつけるように立っていたとのこと．車内には東洋人らしき男性2名と女性1名がおり，運転手は車外で座らされていたとのこと． 04月9日のアンマンの共同通信の取材で判明．
現地時間　04月07日	米軍攻撃ヘリがイラク中部のファルージャで武装勢力の立てこもるモスクを攻撃．現地では約40名の犠牲者が出たと報道．対して米軍は，モスク外壁を爆弾とミサイルで攻撃したがモスク本体には被害もなく，死亡者は武装勢力の1名だけで民間人に死者はいないと発表．シーア派の宗教指導者で反米強硬派のムクタダ・サドル師は「イラクはアメリカにとって第二のベトナムになる」と警告．
現地時間　04月07日　23:00過ぎ	陸上自衛隊サマワ宿営地付近で砲撃音．翌朝，宿営地北側の運河を挟んだところで2発(榴弾と黄燐発煙弾)の着弾を確認．榴弾は宿営地から北東約1km，黄燐発煙弾は北東数百mの地点．
現地時間　04月07日　23:30頃	韓国人牧師ら8名がバグダッドへ向けてアンマンを出発．
現地時間　04月08日　10:30頃	ラマディ付近に到着．ファルージャ経由の道路が封鎖されていたため迂回することに．迂回路に入ってからしばらくすると武装集団が検問中で，1名はその場で逃亡，7名がそこで5時間ほど拘束され尋問される．武装集団は牧師らをCIAから派遣されて来たのではと疑うが，牧師らは医師や看護師であると身分を偽り，内1名が武装集団の1人にスポーツマッサージを施す．信用した武装集団は彼らを解放．バグダッドのホテルまで送迎される．


日本時間　04月08日　18:20	カタールに本拠を置く衛星テレビ局「アルジャジーラ」が外務省に「日本人3名が拘束された映像がある」と知らせる．これが日本政府への第一報に．
日本時間　04月08日　18:30	外務省が対策本部設置．
日本時間　04月08日　18:40	事件の概要が秘書官を通じて小泉首相の耳に入る．
日本時間　04月08日　18:45	警察庁が対策室(室長：瀬川勝久警備局長)を設置．
日本時間　04月08日　19:10	首相官邸に在イラク邦人人質事件官邸対策室を設置．
日本時間　04月08日　20:22	福田康夫官房長官が官邸に到着．
日本時間　04月08日　20:28	テレビ朝日が「日本人3人が拘束される」とテロップでニュース速報
日本時間　04月08日　20:33	NHKがテロップでニュース速報
日本時間　04月08日　20:35	堂道秀明外務省中東アフリカ局長が官邸入り．
日本時間　04月08日　20:40	アルジャジーラがテロップでニュース速報．北海道警が警備対策質を設置．
日本時間　04月08日　20:49	谷内正太郎官房副長官補が官邸入り．
日本時間　04月08日　20:58	小泉首相が品川の公邸着．
日本時間　04月08日　20:59	ロイター通信が至急報．
日本時間　04月08日　21:00	瀬川勝久警察長警備局長が官邸入り．
日本時間　04月08日　21:00	「アルジャジーラ」が人質3名の様子が映った無音ビデオ映像を1分半ほどに編集して放映．映像には人質3名と，その後ろに覆面をして自動小銃やRPGを持った数名の犯人も映し出され，人質3名のパスポートも収録されていた．自らを「サラヤ・ムジャヒディン(聖戦士旅団)」と名乗り，自衛隊が3日以内に撤退しなければ人質を殺害するとの武装集団の要求も報じる．その後NHKも同様の映像を放送．
日本時間　04月08日　21:12	飯原一樹防衛庁防衛局長が官邸入り．
日本時間　04月08日　21:40	アルジャジーラはナシリヤで英国人1名が拘束されたと放送．
日本時間　04月08日　22:20	福田官房長官が官邸で記者会見．「強い憤りを覚える」「自衛隊が撤退する理由ない」
日本時間　04月08日　22:33	逢沢一郎外務副大臣が官邸から外務省オペレーションルームへ．
日本時間　04月08日　22:40	川口順子外務大臣が官邸を出る．
日本時間　04月08日　22:45	川口順子外務大臣が外務省オペレーションルームへ．
日本時間　04月08日　23:00	朝日新聞社が記者会見．郡山総一郎は社員ではなく，記事を買う契約．イラク入りは本人の意思．
日本時間　04月08日　23:10	安倍晋三自民党幹事長が自民党本部で記者会見．イラクからは撤退しない考え．無条件解放の要求をコメント．
日本時間　04月08日　23:19	川口順子外務大臣が外務省で記者会見．解放に全力をあげる．
日本時間　04月08日　23:20	警察庁が国際テロ緊急展開チームの派遣を決定．
日本時間　04月08日　23:29	福田康夫官房長官が官邸を出る．
日本時間　04月09日　15:30	外務省の高島肇久外務報道官がアルジャジャーラ東京支局長のインタビューに応え，約10分間にわたり「自衛隊は人道復興支援が目的であり，撤退はできない」など政府方針を日本語で語る．
日本時間　04月10日　17:00過ぎ	チェイニー米副大統領，就任後初来日．羽田空港に着．
日本時間　04月10日	自国軍イラク駐留部隊を激励するためイタリアのベルルスコーニ首相がイラクを訪問．
現地時間　04月10日　21:40 日本時間　04月11日　02:40	アルジャジーラが，日本人3名を24時間以内に解放するとの武装グループ「サラヤ・ムジャヒディン」のメッセージ(Faxによる)を伝える．イラク・イスラム聖職者協会の要請に応じた解放とのこと．
現地時間　04月11日	拉致・拘束されていた英国人ゲイリー・ティーレイ(Gary Teeley　37歳)が解放される．
現地時間　04月11日	フランスの映像配信会社CAPAの記者アレクサンドル・ジョルダノフ(Alexandre Jordanov 40歳)がドキュメント番組の取材中にイスラム教スンニ派と思われる武装グループに拉致された．バグダッドの南約50kmの幹線道路にて．
現地時間　04月12日　夜	在バグダッドのロシア電力系企業「インテルエネルゴサービス」の事務所に武装グループが侵入し，8名の社員が拘束・拉致された．イラク人警備員と銃撃戦となり，警備員2名死亡．
日本時間　04月12日　未明	高遠菜穂子の妹，井上綾子のコメント「自衛隊の即時撤退とアメリカの武力行為中止の要請をしてほしい」
現地時間　04月13日	拘束されていたロシア電力系企業の社員ら8名(ウクライナ人5名＋ロシア人3名)が解放された．
現地時間　04月13日	「カタイバ・ムジャヒディン」を名乗る武装グループがイタリア人4名(米警備会社社員)を拘束，イタリア軍のイラク撤退を要求する映像がアルジャジーラで放送された．
現地時間　04月13日	イラク暫定占領局(CPA)は，現時点で把握しているイラク国内で武装勢力に拘束されている人質は12カ国の約40名であると発表．
日本時間　04月14日	アビザイド中央軍司令官の要請によりラムズフェルド米国務長官がイラク駐留米軍の2万人増強を承認．既に駐留している一部部隊の駐留期間を延長することによる．米駐留軍は総勢135,000人体勢．
現地時間　04月14日	拘束されていた仏の記者アレクサンドル・ジョルダノフが解放された．
現地時間　04月14日　深夜日本時間　04月15日　早朝	米軍ヘリの墜落現場を撮影するために出かけた日本人2名が拉致された，との電子メールがNGOメンバーの田保寿一にイラクの友人から届いた．拉致されたのは… 安田純平(30歳　03月14日に出国したフリージャーナリスト．埼玉県入間市在住) 渡辺修孝(36歳　元自衛官でNGO[米兵・自衛官人権ホットライン]のメンバー．)
現地時間　04月15日　15:40頃日本時間　04月15日　20:40頃	アルジャジーラは日本人人質3名が解放され，イラク・イスラム聖職者協会の事務所に保護されたところを映像とともに放送．3名はその後日本時間21:00過ぎにバグダッドの日本大使館に移る．
日本時間　04月15日　22:16	川口順子外務大臣が緊急記者会見．
現地時間　04月17日　11:00頃日本時間　04月17日　16:00頃	拘束されていた邦人2名(安田純平＋渡辺修孝)も解放される．